ベルリン音楽大学“ハンス・アイスラー”卒業演奏会が終わりました。これは卒業演奏会であると同時に卒業試験でもありましたが、全ての審査員から“Ausgezeichnung bestanden”を頂き、最優秀の成績でドイツ国家演奏家資格課程を修了することができました。このドイツ国家演奏家資格課程はドイツでコンツェルトイクザーメンと呼ばれるのですが、1999年のボローニャ・プロセス(いわゆるディプロム・マギスター・コンツェルトイクザーメンの3段階制度からバチェラー・マスターの2段階制度への変換)のあおりを受け、年々各大学で無くなりつつあります。我が大学でもここ5年程、少しずつその課程への進学者を減らしており、今では全科の中で2、3人が進める課程となっておりました。ちなみに、これから入学する人には準備されてない課程となります。ということで、この制度のほぼ最終期に資格を取得できたのは幸運といっても過言ではありません。とても光栄かつ、嬉しく思います。

さて、演奏会で私が指揮したのはチャイコフスキーの幻想序曲「ハムレット」で、オーケストラはもうすでに3度ご一緒させて頂いているコンツェルトハウス・ベルリンでした。こちらのオーケストラは、もちろん指揮者がディレクションを取らなくてはならないのですが、要所要所でオーケストラのメンバーがディスカッションを要求してきます。効率は度外視して、気になるところがあればその瞬間に徹底的に突き詰めていくこのやり方、この様な作業を繰り返していくうちにオケの皆さんの音にも説得力が生まれ、最終的には一体感が生まれてくるのかなとも思います。これぞ私がドイツで5年間経験してきたドイツ文化の一端を見る思いで、締めくくりの演奏会でそれを再び強く感じられたのはとても価値ある体験でした。

本番で感じたオーケストラのうねり、エネルギーは凄まじいものがあり、指揮台にしっかり立っていないと飲み込まれそうになりました。あの状態は一生忘れることは出来ません。本物の音楽をぶつけて下さったオケの皆様に心から感謝申し上げます。

また、5年間素晴らしい環境を提供して下さった音楽大学、第2の父のように愛情深く指導して下さったクリスティアン・エーヴァルト教授、数々の困難や危機から救ってくれた友人、家族、感謝してもしきれぬ方が沢山おります。これからの活動で恩返しが出来るよう、学生という立場を離れたこれからもしっかりと精進して参りたいと思います。