蒲郡フィルハーモニー管弦楽団との定期演奏会が終わりました。シューベルトの交響曲第7番、ブルックナーの交響曲第7番という、これ以上考えられない最高の組み合わせのプログラムでした。共に、死に対する永遠性の問いかけ、宗教的な意味合いが強いE-Dur(4つの十字架の調)で、アンサンブル、技術云々といった演奏に際しての実務的な事よりも、作品と対峙する姿勢、作品への理解、心持ちが特に大事な作品であったように思います。

ベルリンに留学して初めてのレッスン、ベルリンに行くきっかけとなったベルリン・フィル来日公演で演奏されていたブルックナーの交響曲第5番見て頂こうと意気揚々と準備をしていったのですが、まず宗教とは何か、カトリックとは何か、そして祈る事とは何かということを諭され、指揮するのはその後だとそれだけでその時間は終わりました。この事は私にとってかけがえのない貴重な体験となり、いつもこの記憶を反芻しながら練習に通っておりました。とはいえ、先生に教えて頂いた事を生半可に口で語ってしまう事は非常に浅はかであるような気がいたしました。きっと強く音楽を感じていれば宗教を超えて語りかけてくるものがあると信じておりました。

蒲郡フィルの皆さんはとても向上心、探究心のある方ばかりで、時に練習時間を越えて沢山の質問を頂きました。共に音の意味を考えながら理解を深め、音楽を形作って行くスタイルは一つの理想でもありますから、これはとても嬉しく思いました。技術的には本当に難しく、いつまでたっても越えられない山がそびえたっているような気も正直いたしましたが、しかしそうした皆さんの熱意と音楽を感じる力で、本番特別な音楽の色が生まれた気がいたします。言葉で語り尽くせない、深遠なる世界を見させて頂きました。

初めて伺ったオーケストラ、そして街でしたが、実に楽しく快適に過ごさせて頂きました。皆さん、そして風土に感謝したいと思います。ヴァーグナー・チューバが自前で揃っているという珍しいオーケストラです。いつかまたブルックナーの世界でお会いしたいです。

写真はご出演されていた方から頂いたシューベルトの絵のついたマッチ箱です。絶対に燃やせません。