2011年前半は三重県とのつながりが多いシーズンで、7月10日(日)の津フィルの皆さんとの演奏会がその最後となりました。

曲目はリストの交響詩『前奏曲』、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームスの交響曲第1番という19世紀半ばの、いわゆる中期ロマン派の作品が並んでいました。この『ロマン派』という言葉はとても大雑把で、一括りにしてしまうのはとても危険だと思うのですが、それぞれの作曲家の創作行為における差異や共通点を感じる事ができて、私自身『ロマン派』というものを見返す良い機会になりました。

ロマン派の音楽というとどうしてもその中身の感情面が注目されがちです。リスト自身、『感情は純粋音楽のうちに具現化される。その際、他の芸術、特に言語芸術と違って、感情は思考に屈したり無理に合わせたりする必要が無い。もし音楽が、他の表現形態に勝って魂の感興を再現できるとすれば、それは、悟性の助け無しに心の内面の動きをそのまま伝え得るという、音楽の最高の美質のお陰である。』と言葉を残しています。しかし作品の中でその感情を支えるのは、やはり圧倒的な構築力であり、その前の時代から脈々と流れている音楽語法に対する“悟性 Verstand[独]”なのではないかと感じます。尤も、リストの『前奏曲』は標題音楽ですので、この作品において彼の言葉は有効ではないのかもしれませんが。

最終的に津フィルの皆さんは、この感情と構成を一番良い所でバランスをとって下さったように思います。ブルッフでのヴァイオリン独奏の森彩香さんが、その美しい音楽で良い方向に導いて下さったのも、演奏会全体の雰囲気に大きく作用いたしました。心から感謝申し上げます。